CLUB CAVEについて(ぴにょん)

こんにちは、ぴにょんです。CLUB CAVEの運営として色々やってます。庶務っていう言い方が一番しっくりくるかもしれない。もうひとりの(メインで動いてる)きるゆさんが色々書いてくれていたので、私の方でも担当した箇所について書いていこうと思います。

ロゴ

完成形のロゴと使用例。
完成形のロゴと使用例。
何らかのロゴを作るときに気をつけなければならないことがいくつかあります。
  • ひと目で分かること
    • ひと目で、平文やモブグラフィックではなく、ロゴだと分かること
    • ひと目で、ロゴを冠するコンテンツの雰囲気が伝わること
  • 差別化をすること
    • 奇を衒う、浮かせるという意味ではない
    • 他が入れていないエッセンスを取り入れるということ
  • 展開の余地をもたせること
    • シンプルなことば(構成/造形言語)の構造で表せる部分でブランディングする
    • ※一発系イベントのグラフィックに関してはこの限りではありません
これらを踏まえて、ロゴの制作段階を見ていきましょう。

第一段階

まずきるゆから「硬い、重い、アンダーグラウンド、暗い」というコンセプトと、ロンドンのACIDメンバーがパリのクラブに侵入するMVをイメージとして頂いており、海外のそういうクラブのロゴを眺めながら素案をいくつかひねり出しました。
ボツ案について長く語ってもアレなのでメモ程度ですが、二番目は洞窟の奥行きとかGTAVのMusic Lockerが、三番目は渋谷Circusとか渋谷Contactとかのロゴが頭の中にあった記憶
ボツ案について長く語ってもアレなのでメモ程度ですが、二番目は洞窟の奥行きとかGTAVのMusic Lockerが、三番目は渋谷Circusとか渋谷Contactとかのロゴが頭の中にあった記憶
無事良い感触を得られたのは1番上のものでした。
素案の時点ですでに、「手書き系のグランジ」「直線的である」「幾何学的にキッチリ揃っているわけではない」というアピアランスが出ています。これらはすべて洞窟壁画の模様をイメージしたもので、コンセプトに則りながらも最も激しいレトロスペクティブをしています。
このレトロスペクティブこそがVRクラブのロゴを作る上での「差別化」のエッセンスとして採用したものです。VRという物自体が近未来的コンテンツである以上、視線のベクトルは時間軸方向で正方向になりがちで、各種ロゴも見てみるとフューチャリスティックなものが多いことに気づきます。そこからさらに次世代の方向に突き出していくこともできるのですが(実はその結果が上の二番目三番目のロゴだったりしました)、時間軸的に後ろを向いてみることでも差別化を取れます。

第二段階

洞窟壁画の要素を取り入れるというテーマで様々な展開を考えます。この時点でワールドに裏路地的な汚しが入ることがわかっていたので、そういった風化表現やタギング/ボミングがなされてもそれらに埋もれないように気をつけました。
この段階に入ってからかなりの間、素案のようにEをCの左右反転したものに何らかのアクセントを加えた形状にしてまとまりを取るというアプローチに固執してしまって苦しい時間がありましたが、なにかのタイミングでそれを抜けたのを覚えています。その瞬間の画像が右でした。
素案2。ログ見たら日付が元旦だった
素案2。ログ見たら日付が元旦だった
 

第三段階

きるゆさんに先の画像を大声出しながら投げたら大声でいいですよが返ってきたので、大まかな流れをこれで決定とし、ここからはバランスを取れる形状を探していきます。
具体的には、CA間が程よい空き方や絡み方なのに対してAV間は詰まりがちで強い分割が起き、VE間は緩慢で上部が複雑になってしまうになってしまう問題をどうにかこうにかやっていきます。
また、後付けではありますがこの形状からキース・ヘリングみを感じ取っていたので、あの見た目単純な線から出る躍動感も取り込んでいけたらなーと思いつつロゴのなりかけ(ひよこって呼んでる、かわいいので🐤)を大量生産しました。
マジでVが大変でした、単純な線で組もうとするとすぐUになったりLになったり
一個のログが残るまでに数十回のアンドゥがあったりした
一個のログが残るまでに数十回のアンドゥがあったりした
 

最終段階

きるゆとの相談ののち全体の形状が決まったので、手書きの画像をパスデータ化して細かい調整を加えていきます。個人的にはここから腕の見せ所です。
例えばVの切れ込みが大きくなって、Vの下側の重い部分が解消されています。こういった細かい所作で「なんかダサい」ラインから抜け出させて、節操のあるロゴに仕立てました。
AVEの密度を一定にして、”しこり”や”ムラ”をなくしたことで、見たときに違和感のないロゴになったのではないでしょうか。

できた

フライヤーとブランディング

現実のフライヤーと同様A版で作成。線のところは特色インクで刷りたいよね
現実のフライヤーと同様A版で作成。線のところは特色インクで刷りたいよね
ロゴは箱のロゴなのでテーマに余裕はある程度持たせてもいいかなーと行った感じだったんですが、パーティーのフライヤーでは方向性をしっかりと定め、そしてフライヤーによる集客力を持たせないといけません。
フライヤーでの「差別化」として、
  • 文字情報を量と面積の両方で絞っていく
  • グラフィックで目に留まりやすくさせる
を目指しました。どちらも海外のフライヤーの文脈を汲んでいます。
文字情報に関して、VRクラブのフライヤーはSNSでシェアされることがほとんどです。そこにすでに文字としてイベントの情報が載ってるなら、フライヤーの画像内には同様の情報はもういらないとまで言えそうですが、その画像が(単純なグラフィックではなく)フライヤーだということを分からせるために文面を残しました。
目を留まらせるためのグラフィックの主題は、「(観客が)洞窟を覗き込む」ことです。洞窟の中から外の明るみを仰ぎ見るのではありません。このフライヤーを見てしまった探索者は、手元の灯りで明るく照らされて見える岩肌によって、その奥に暗く広がる空間へと誘い込まれます。
洞窟の中というのはいわば原初のセーフハウスであり、そこに向かうことは前述のレトロスペクティブと一致しています。
今回は覗き込む行為や情景を線の流れで表現しましたが、同様の動きを盛り込めば別の表現方法でも同じイベントであることがわかる、という設計のブランディングを施しました。
まだ名前しか聞いていないときに作ったロゴのラフ案の一つ
まだ名前しか聞いていないときに作ったロゴのラフ案の一つ

ということでした

逆に言うとこれら以外のワールド制作やメインエンジンとしての動きはほぼきるゆがやってくれました。本当にありがとうございます。かなり前に、自分でイベント持てばフライヤーとか作り放題じゃんとか考えていたんですが、それが見事叶った形になります。
はしゃぐ主催(ワールドはやや前のバージョンです)
はしゃぐ主催(ワールドはやや前のバージョンです)
そういうことで1月21日に初イベントやりますのでぜひぜひよろしくお願いしますー